英ポンド/円相場は、1ポンド=168円水準での取引になっている。12月10日には一時170.06円までポンド高・円安が進行し、上値切り上げ傾向を確認した。ただ、今週に入ってからはやや調整色を強めており、高値から若干値位置を切り下げている。
イングランド銀行(英中央銀行)は、12月4~5日に開催された金融政策委員会(MPC)において、政策金利を現行の0.5%、資産購入の規模を3,750億ポンドで、ともに据え置くことを決定した。カーニー総裁は、景気回復を損ねるような早急な引き締めは行わないを維持している模様であり、「政策維持」の姿勢であることを強調している。また、オズボーン財務相は、英予算責任局(OBR)が今年の成長率見通しを3月時点の+0.6%から+1.4%まで上方修正している。14年についても+1.8%から+2.4%までの上方修正となり、英実体経済の回復傾向が維持されていることが確認されている。OBRは、成長は「期待しているほど強くない」との慎重姿勢も示しているが、景気要因からはポンドが大きく下落する必要性は見出せない。10日に発表された10月鉱工業生産は前月比+0.4%となり、前月の+0.9%からはやや減速したものの、好調な状態を維持している。
問題となるのは、欧州中央銀行(ECB)が緩和姿勢を後退させていることで、対ユーロでポンド高是正の動きが強くなっていることだ。株高と連動した円売り圧力も一服しており、ポンド高・円安のモメンタムがやや鈍化している。ポンド高・円安の流れそのものが修整されるとは考えていないが、リスクオンの地合が本格化しなければ、ポンド円の上値は限定的となる可能性がある。
テクニカルでは、一目均衡表の基準線(163.68円)との乖離が引き続き目立つ。転換線(167.97円)水準でのサポートに失敗すると、値が飛ぶリスクがある。サイコロジカルは、前週の7勝5敗から6勝6敗に。14日RSIは65.05。